Project AIRIは、LLM、声、見た目などの様々な要素を組み合わせて、自分のAIキャラクターを作れるオープンソースのプロジェクトだ。
Windows向けデスクトップ版v0.11.3を入れて、日本語チャット、記憶らしき挙動、音声、PC負荷、API使用量まで試した。
先に感想を書くと、今の状態では毎日使いたい完成済みのAI相棒ではなかった。自分で拡張機能をフルで活用できる場合はかなり面白い。
チャットだけなら、見た目のある生成AIに近い。そこへLive2DやVRM、LLM、ElevenLabsなどの音声providerを自分で選び、好みのキャラクターへ組み上げられるのがAiri
正直全部を整える敷居はかなり高い。
だが全てを揃えられたとき、あなただけの特別なAIになる。
結論
- Google Geminiの
models/gemini-flash-latestでは、日本語チャットが初回から動いた。回答表示までは体感5秒未満で、その後の会話はかなり速かった - Airiのモデル一覧に表示されることと、実会話に使えることは別。Text出力、Tool Use、廃止状態、Airi固有Schemaの4段階を見る必要がある
- 再起動後も会話履歴が戻り、合言葉へ正答した。ただし公開UIの「記憶」は開発中表示で、履歴と内部記憶のどちらが効いたかは切り分けられない
- 無料ローカル音声だけでは、日本語の読み上げと音声認識を一周できなかった
- 現時点で勧めたいのは、設定済みの完成品を求める人より、見た目・声・LLMを自分で選びたい人
Geminiなら、日本語チャットはすぐ動いた
公式のWindows x64用インストーラーを使った。
ダウンロードしたのはAIRI-0.11.3-windows-x64-setup.exe
インストール後はAiriのアカウントを作らず、手持ちのproviderを設定する経路で進められる。
最初はGroqを選んだが実会話で止まったため、Google Geminiへ変更した。models/gemini-flash-latestを選び、「はじめまして。自己紹介をお願いします。」と送ると、そのまま日本語で返ってきた。
初回は回答が見え始めるまで体感5秒未満。表示が始まってからの完了はすぐだった。合言葉を覚えてもらう短いやり取りや、個人開発案を3つ出してもらう会話はさらに速い。
キャラクターの表情が変わりながら返事が出るので、普通のチャット欄より「話しかけた」感じはある。最初の自己紹介が、今回いちばん素直にかわいいと思えた瞬間だった。
一覧に出るモデルが使えるとは限らない
ここがいちばん詰まりやすかった。
Airi v0.11.3のソースを見ると、providerのModels APIから返された候補は、用途や対応機能を十分に絞らず一覧へ取り込まれる。接続確認もモデルIDの一部を文字列で除外する方式なので、最初の確認でGroqの音声認識モデルwhisper-large-v3へチャット要求を送り、400になった。
実用上は、モデル名ではなく次の順で見ると分かりやすい。
| 確認する条件 | 理由 |
|---|---|
| OutputがText | TTSや音声認識モデルはチャットの返答をTextで返さない |
| Function Calling / Tool UseがSupported | Airiは通常の会話にも内部ツールを付けて送る |
| 停止・廃止されていない | 一覧に残っていても、provider側で移行期間や停止済みの場合がある |
| Airiから実会話を送り、provider固有のSchema検証を通る | Tool Use対応モデルでも、Airiが送るSchemaの形をproviderが拒否することがある |
最後の条件は、モデルの仕様表だけでは分からない。
GroqはTool Use対応でもSchemaで止まった
Groqのllama-3.1-8b-instantは、公式ページ上ではInput/OutputともTextで、Tool Useにも対応している。それでもAiriから短い自己紹介を送ると、builtIn_emitSparkCommandのJSON Schemaが不正だとして、回答生成前に400で拒否された。

つまり「Llama 3.1 8BがFunction Calling非対応」なのではなく、Airiが作るツールSchemaとGroqの検証規則が合わなかった。
なお、このモデルは検証日には動作していたが、Groqは無料・Developer tierで2026年8月16日の停止予定を告知している。今回の400は停止前に発生したSchemaエラーなので別問題だが、モデル選びでは廃止予定も一緒に見る必要がある。
GitHubで目立つv0.10.2なら違うのかも確認した。モデル一覧、接続確認、問題のSpark Command Schemaに関係するコードはv0.11.3と実質同じだった。実機でv0.10.2へ戻してはいないが、このGroqエラーを直す目的で旧版へ戻る根拠は薄い。新旧よりproviderを変える方が切り分けになる。
503は「使えない」とは別だった
Geminiへ変えた後も、一度だけ503 UNAVAILABLEが出た。合言葉「青いランタン」を受理した直後に「かわよ」と送ったときで、気持ち悪がったのかと思ったが、画面には高需要による一時的なエラーと表示された。

設定は変えず、そのまま次の個人開発案を送ると成功し、続く雑談も正常に返った。
GroqのSchemaエラーは同じ要求が開始前に毎回止まる恒常的な互換性問題。一方、Geminiの503は同じ設定のまま回復した一時的な混雑だった。モデルが使えるか判断するときは、エラーの番号だけで外さず、同じ条件で再試行して再現するかも見た方がいい。
設定画面やエラーをAIへ相談するときは、APIキーを写さず、画面と症状をそのまま渡して切り分けると話が早い。
再起動後も合言葉は返ってきた
同じ会話の中で「合言葉は青いランタン」と伝え、後から聞くと正答した。さらにAiriを通常終了し、起動し直してから尋ねても「青いランタン」と返ってきた。過去の会話履歴も画面に復元されている。

ただし、これをそのまま「長期記憶が使えた」とは書けない。設定の「記憶」ページは開発中・一般未公開と表示された。保存済みチャット履歴が再びモデルへ渡されたのか、別の記憶処理が働いたのかは画面から判別できない。
実測として言えるのは、再起動後に履歴が戻り、その内容を使った返答ができたところまでだ。
音声の選択肢は広いが、日本語の無料構成は未完成
Airiの面白さが出るのは音声だ。公式リポジトリには、ElevenLabs、Azure Speech、OpenAI互換TTS、ローカルKokoroなど、複数の読み上げ先が並んでいる。画面上でも有料クラウドと無料ローカルを絞り込める。
今回は追加契約なしで試せるKokoro TTSを選んだ。FP32(WebGPU)のモデルは読み込めたが、選べる声はすべてEnglish表記だった。日本語のテスト文を入れると、英語部分だけが正しく読まれ、日本語部分は正しく発音されなかった。

音声認識側も、PricingをFreeへ絞ると「アプリ(ローカル)」の1件だけだった。その公開設定ページは開発中表示で、v0.11.3の画面から選べる無料providerとしては設定を完了できなかった。

Player2には日本語voiceの定義があるが、別アプリを導入してローカルで起動する必要がある。ElevenLabsなどの有料providerも含め、今回は試していない。
したがって「Airiで日本語音声が使えない」ではなく、今回の追加契約なし・配布版の公開UIという範囲では、日本語の音声入力→返答→読み上げを一周できなかったという結果になる。
アイドルで約654MB、チャット中も大差は見えなかった
タスクマネージャーのAIRI (7)集約行では、アイドル時にCPU 7.1%、メモリ653.7MBだった。ディスクは0MB/秒、ネットワークは0Mbps。GPU列は撮れていない。

テキスト応答中も目視では大きく変わらなかった。ただし応答が速く、正確な最大値を撮る前に終わったため、瞬間的なCPUやネットワークの増加は測れていない。
LLMは外部のGeminiなので、チャット部分でローカルGPUを回す構成ではない。それでもキャラクター表示と複数プロセスを含む常駐アプリとして、メモリはそれなりに使う。音声まで組めていない今の状態では、体感は「メモリを食う、見た目つきの生成AI」に近かった。
今回はGeminiの無料枠で収まった
Google AI Studioの28日表示では、Airi専用キーの利用が検証日に約90リクエストあった。グラフから読んだ概数で、正確な回数、入出力トークン、請求額は取得していない。画面上は無料枠と表示されていた。

400、404、429、503の集計もあるが、すべてをAiriの個別操作へ対応づけることはできない。Google AI Studioの集計とAiriのチャット画面を突き合わせられたのは、少なくともGemini側の503だった。Groqの400は別providerの画面で確認したもので、この集計には含まれない。
向いているのは、フルカスタムしたい人
Airiで一番良かったのは、回答の賢さではなく自分で決められる範囲の広さだった。
- LLM providerとモデルを選べる
- Live2DやVRMで見た目を変えられる
- 読み上げと音声認識を別々に選べる
- Web Search、視覚、短期記憶、長期記憶などのモジュールが並ぶ
- Discordやゲーム連携まで拡張先がある
反対に、一番困ったのは、一覧に見えているモデルやproviderが、そのまま使えるとは限らないことだった。「選択肢なのだから選べば動く」と考えると詰まる。
フォルダを開くボタンを1回押すとExplorerが複数開いたり、設定ウィンドウが2枚以上になったりする挙動もあった。原因は追っていない。公式リポジトリ自身もearly stageと説明しており、今回の範囲では深刻な不満というより、まだ組み上げ途中のソフトを触っている感触だった。
向いている人は、見た目、声、LLMを自分で選び、動かない組み合わせも切り分けながら「自分のAiri」を作りたい人。ElevenLabsや別アプリ、独自モデルまで含めて構成できる人なら、拡張性を楽しめると思う。
まだ向いていない人は、インストール後すぐ日本語で話せる、安定したAI相棒を毎日起動したい人。今の段階では、完成品を使うというより素材を組み合わせる側へ回る必要がある。
まとめ
Geminiにつないだ日本語チャットは速く、キャラクターが返事をする体験もよかった。再起動後に会話が戻るところまで動いたので、単なるデモより先には進んでいる。
一方で、モデル選択はTool UseとSchemaまで見ないと通らず、日本語音声の無料構成も完成しなかった。チャットだけで毎日起動するには、約654MBというアイドル時メモリに見合うほどの違いはまだ感じていない。
だから現時点の評価は、完成したAI相棒ではなく、AI相棒を自分で作りたい人のための拡張素材。不便さを消してから勧めるソフトではなく、不便さも含めて自分で選べることに価値を感じる人へ勧めたい。
